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タイトルに後発品医薬品メーカーと書いてしまったが先発品も製造している。
むしろ今年に入ってからの株価下落の大きな一因が先発品である多発性硬化症治療薬コパキソン
この薬がTEVAの今後を占うcatalyst

コパキソンの他にもいろいろ株価に影響を与えるcatalystがTEVAにはある


TEVAの概要

Teva Pharmaceutical Industries Ltd (ADR)(NYSE:TEVA)はイスラエル最大の企業。1901年に設立
日本で言ったらトヨタ的な存在。なので民間会社だが政治色も絡んでくる。
TEVAの最重要製品であるコパキソンはもともとイスラエルの研究機関である
ワイズマン研究所が発見し、その権利をTEVAが取得して全世界で販売している。

なのでこれまでのTEVAの発展にはイスラエルという国家が関係している。
そして国家のバックアップには良い面と悪い面がある。

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TEVA株の下落要因は大きく3つあってそれがタイミング悪く重なってしまった。



①トランプが後発品の価格を下落させようとしている

医薬品最大の消費国であるアメリカの大統領が薬価をめぐって新しい入札制度を作って
価格競争をさせようとしている。

先発品の場合、製薬会社に価格決定権があるので先発品は影響をそこまで受けないはずだが
後発品の場合は入札方式だと潰し合いになることは目に見えてる。

薬だと先発と同じモノが求められるから普通の商品の様に後発品会社側が工夫する余地が乏しい。
先発品より味が良いですよとかのレベルではあるけどその工夫で差別化はできないだろう



②アラガンの後発品事業買収に現金334.3億ドルを費やしてしまう。

TEVAとしては一気に後発品のシェア拡大を狙って勝負したんだろうけど
この博奕完全に裏目ってる。
トランプの政策が実施されると後発品のシェアは大きくなっても単価が安くなる
結局儲からない
そして儲かる前提の皮算用で借りた借金が重く伸し掛かっている。

現時点での純債務が340億ドル
早速来年に50億ドルの債務を返さないといけないし、向こう3年間で190億ドル返す計画らしい

返せるんだろうか?債権者とのリスケジュールが必要だと思う。


③コパキソンの特許切れ

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多発性硬化症治療薬コパキソンは常に売り上げの2割と大きな比重を占めているが
利益で見てみるとEBITDAの45%〜50%を占めている。

このTEVAにとって一番大事な薬が特許切れとなる。
同じ後発品メーカーであるマイランがFDAから40mgシリンジ版の後発品製造販売許可を受けた。
よって来年からTEVAはさらに利益を出しにくくなってしまう。

コパキソン注には20mgと40mg版がある。
20mgは既にノバルティス傘下のサンドからも発売されている。
しかし40mgの後発品はこれまで無かった。40mg版は毎日使用しなくてもいい利点があり
売上で見ても20mgが7億ドル、40mgが36億ドルと圧倒的に40mg版が売れている。

その40mg版の後発品の製造販売をFDAがマイランに許可して完全にコパキソンの特許は喪失した。

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毎年40億ドル売れていて売上全体の2割、利益の4割を占めていた薬がなくなる。
今後の見通しは厳しい




以上、主に3つの悪条件が重なり今の悲惨な株価が形成されている。


③の特許切れは前から分かっていたから織り込み済みだけどそこに経営の失敗が重なった。
この借金が新薬の開発に使って結果的に失敗したというならまだ納得だけど
350億ドルの投資は単純な規模の拡大を狙ったレバレッジ投資

信用取引で失敗したのと変わらない。

自分の力の何倍も大きいものを得ようとして失敗しただけ
Debt/EBITDAが5倍て大手の製薬会社の中ではかなり高い。
減配懸念のグラクソですら2倍行ってない。そら無配になります。


株価の重しだと筆頭株主のアラガンが来年TEVA株の放出をするかもしれない。
アラガンもレスタシスの特許喪失で苦しんでるしその穴埋めに


過去3か月の動き
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底値から50%上昇しているがこれは新しいCEOが大規模なリストラを発表したからだ
しかしこのリストラが上手くいくかは不明瞭

従業員56000人の25%、1万人以上を削減する計画らしい。
トヨタが日本で従業員25%首にするって発表したら大騒動になるな

イスラエル国内でも大きな反発があるだろう、というかもう大きな反発を食らってる。
ネタニヤフ首相はイスラエルにある国内工場を閉鎖するんじゃなく
海外の工場を閉鎖しろとか注文つけてきたりしてるし従業員のストライキも起きている

一国の首相が工場閉鎖するなと言ってるのにCEOがそれらの要求を撥ね退けられるんだろうか
CEOのシュルツはデンマークの製薬会社ルンドベックとノボノルディスクの出身だけど
その2つの製薬会社は特許に守られた先発品の会社
特にノボノルディスクは世界3大インスリン製造会社で純利益マージンが3割越えという
あり得ない高収益企業、誰が経営しても上手くいく企業で借金と無縁の超優良企業
TEVAとは正反対な訳だが大丈夫なのかな・・・



TEVAを調べると不安だらけだ、支えとなるものが見つからない。
これがあるからこれからも大丈夫というモノが無い。

新薬のパイプラインを見てみると片頭痛治療薬のフレマネズマブは有望かな

phaseⅢ試験を見てみると目立つ副作用も無く片頭痛の頻度を優位に減少している
カルシトニン遺伝子関連ペプチドに作用する新機序の薬だし承認されたら売れそう。
しかし年間売上40億ドルのコパキソンの穴を補うのは無理だろう



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先週ゴールドマンは目標株価を20ドルに設定した
モルガンスタンレーも18ドルと現在の株価は適正らしい。



博打打ち的に考えるとTEVA株は30年前に投資してるとこれだけ暴落してもリターンは30倍以上
潰れそうならイスラエルという国家がバックアップだろうしここが相場の張り所か?


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