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世界のインスリン市場を独占している3つの会社がある。


フランスのサノフィ
アメリカのイーライリリー
デンマークのノボノルディスク



この三社が1920年代にインスリンが発見された当初から現在に至るまで
ひたすらインスリンを製造し市場を独占してきた。

1922年にインスリンの発見がありその翌年の1923年に早くも

サノフィ(旧ヘキスト)からインスリンヘキスト
イーライリリーからアイレチン
ノボノルディスクからインスリンレオ

が発売されている。
この三社の中でもノボノルディスクは最も会社経営的にインスリンに注力し
100年近くインスリンに集中投資している。



 
インスリンとは?

そもそも薬ではなく生体内に元からある血糖降下作用を有するホルモン
膵臓のランゲルハンス細胞から出てくる。
不足すると血糖値が上昇しケトアシドーシスになり最悪死亡する。

構造的にはアミノ酸が51個つながっているタンパク質
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インスリンの発見と構造解析にはそれぞれノーベル賞が送られている位の偉大な発見
遺伝子改変していないレギュラーインスリンは単体ではなく
6つのインスリンがくっついている形で存在している。

その6つのインスリンが2量体→単体となり始めて人体に吸収される。

だから昔のインスリンは血糖降下作用に時間がかかるので食事の前にあらかじめ
インスリンを注射しなければならなかった。

そんなインスリンを少しずつ改良を重ねて現代の便利で安全なインスリンアナログ製剤がある。
インスリンについて書くと記事がインスリンで埋まってしまうので別の機会に書きたい。
今回の記事はノボノルディスクが主役



糖尿病とは?

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血糖値が高くなっている状態、放置しておくと失明したり腎不全なって透析なったり
足が壊死してアンプタなったりする恐ろしい病

透析になってしまうと週3回位病院に行く必要がある。
透析の針は太い、凄く太い、15ゲージ針とか見るとドン引き
ペンレスやユーパッチ貼っても痛そうだ。

でも透析はさぼれない。さぼると命に関わる。
美味しいものも我慢しないといけないし、水分摂取も制限させる。

血糖値が高いだけでは自覚症状が無い場合が多く、健康診断で
指摘されて初めてわかることがある。
自営業者やヨブの様なニートは健康診断の義務が無いから
気が付いたら糖尿病だったという事もある。定期的に自分の血糖値とHbA1cは観測しておこう。

有名な糖尿病患者だと平安貴族の藤原道長さんが糖尿病だったようだとの記録がある。
水をたくさん飲み、網膜症を発症して眼も悪かったそうな。
死因も糖尿病が原因の感染症らしい。
今なら助かったかも



ノボノルディスクの歴史

ノボノルディスクは1989年にノボ社とノルディスク社が合併したことにより発足するが
その二つの会社は1920年代からずっと存続してずっとインスリンを作り続けていた。



ノルディスク社


1923年創業
コペンハーゲン大学の教授で既にノーベル賞受賞者であるアウグスト クロウが
1922年にトロント大学で発見されたインスリンを北欧で製造する事から始まる。

アウグスト クロウは同業らから資金的に協力してもらい
ノルディスク インスリン研究所を創設、この研究者がノボノルディスク原点
ノルディスクは「北欧の」という意味

血糖値を計測する方法を開発したハーゲドン博士が所長となる。
このハーゲドン博士はプロタミンの発見などインスリン史に多大な貢献をしたので
中間型インスリン(Neutral Protamin Hagedorn)の名前の一部にもなっている。

1923年にクロウとハーゲドンは北欧初のインスリンであるインスリン レオを発売した。
レオは現在も存在するデンマークの製薬会社レオファーマが支援した見返りとして
商品名にレオという名前を付ける事を要求したために名付けられた。



ノボ社


ノボ テラピューティスク研究所

1925年に設立されたノボ テラピューティスク研究所が紀元

ハラルド ペダーセンとトーバルペダーセンという2人の兄弟が創設者
この二人はノルディスク社に少しの期間勤務していたが人間関係が上手くいかなくて
独立したようだ。
この時に兄弟が独立しなければ半世紀以上別々に会社が歩む必要無かったのに
いつの世も人間関係は難しい。




ノボノルディスクの売上

タイトルにも書いたがノボノルディスクは超高収益企業かつ無借金
過去の業績を見ても際立っている

この会社にリーマンショックなんて無関係。
不景気だからとインスリン打つの辞める患者はいない。

糖尿病患者はこれからも増え続ける。

去年はアメリカでの売上成長懸念で急落したが
これからは中国やインドと言った成長国で患者数が増えていくので問題無いだろう。
株価も結局戻している。

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売上も純利益もひたすら右肩上がり
買収によって売上を成長させるのはよくあることだがそれだと財務が悪化する。
しかしノボノルディスクは売上と純利益率の両方を成長させている。

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ヨブ的最強銘柄10種のJohnson & JohnsonやRocheですら純利益率は25%程度
ギリアドなど一発当てた製薬会社は50%超えているが
コンスタントに純利益率が3割を超える製薬会社は驚異的だ。

2016年における国内最大手の武田薬品工業とノボノルディスクの対比だと
売上が2兆円弱で同じ位だが武田は純利益率が6.6% ノボノルディスクは34%
武田の純利益額は1149憶円に対してノボノルディスクは8620億円(1DKK=18円換算)

日本の製薬会社でノボノルディスクに勝てる会社は存在しない。
そもそも日本の製薬会社にインスリン製造する能力が無いから
インスリン市場に投資しようとしたら海外に投資するしかない

三大インスリン製造会社の他の2つ、サノフィとイーライリリーも素晴らしい会社だけど
インスリンだけでなく他にも沢山薬を保有している
より純粋なインスリン市場プレイヤーに投資したいならノボノルディスク一択



株主還元

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もう一つノボノルディスクの素晴らしい所として株主還元がある。

配当利回りだけを見ると高い時でも3%、平時だと2%半ばだが
この会社は配当と同じ規模で自社株買いを行っている。

配当と自社株買いを合計すると純利益の9割
そして他の企業みたいに株主に良い恰好するために利益以上に株主還元なんてしていない。
日本のどこかの製薬会社の様に赤字なのに減配しないで配当出すとかは好きじゃない。
本物の株主還元をしている会社、それがノボノルディスク



製品群

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ノボラピッド
ノボミックス
レベミル
ビクトーザ
ノボセブン


この5つはすべて1000億円以上の年間売上がある。レベミルもそのうち売れるはず

ピークが過ぎたラピッドとミックスの代わりにビクトーザとレベミルが補う形



ヨブの独り言

生物学的製剤のインスリンアナログも特許切れの心配はある。
現にサノフィのランタスは既にインスリングラルギンとして発売されているし
ノボノルディスクの商品もいつかはバイオシミラーが出てくる。

しかしインスリン製剤の商品価値は取り込まれた後の安定した体内動態による部分が大きい。
低分子化合物のジェネリック医薬品の様に主成分が同じなんですと言って
じゃあ代わりに使おうかとすぐにはいかない。
狙った時間にきちんと効果があるか、効果が強すぎて低血糖が起きないか医師は慎重になる。
その信頼を勝ち取るための努力は大変だ。

インスリン市場はサノフィ、イーライリリー、ノボノルディスクのブランド力が圧倒的で
新規参入の製薬会社はかなり苦労するはず。

インスリン製造自体も低分子化合物とは違い難易度が高い。
大腸菌を使ったり酵母使ったり100年インスリンを作ってきたノウハウが3社にはある。

新規参入するならアムジェンクラスのバイオ技術と資金力が必要だと思う

インスリン市場に参入するための障壁は高いから安売り競争にはならないと予想する。

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