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世界最大の製薬会社はファイザー
そのファイザーより研究開発に資金を投資しているのがスイスの製薬会社
ロシュとノバルティス

この2つの製薬会社は年間約1兆円をかけて新薬の開発に取り組んでいる。

そしてライバルロシュの議決権ベース3割を保有してるのがノバルティス
ノバルティスの株を買う事でロシュにも間接的に投資することができる。


概要

2017年データ

年間売上高: 491億ドル 
年間純利益:  77億ドル
研究開発費:  89億ドル
従業員数: 126000人

ティッカーシンボル: NVS(NYSE); NOVN(SWX) 
一株配当:2.80CHF
一株利益:3.28CHF
配当利回り:3.2%


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1996年に配当支払いを開始
それ以降22年連続で増配している


本社はスイスの古都バーゼル


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社名の由来は新生という意味を持つ「Nova」、芸術という意味を持つ「Artis」の組み合わせ

設立は1996年だがノバルティスの元となる企業はそれぞれ一世紀以上の歴史がある。



ノバルティスの歴史

起源となる会社は中世ヨーロッパ後期、スイスで盛んな産業であった染料に従事していた。

ノバルティスは1996年にチバガイギーとサンドの合併を経て1996年に設立されたが
そのチバガイギーも1970年にチバ社とガイギー社が合併してできた

ノバルティスはチバ、ガイギー、サンドという3つのスイスの会社が起源となっている。


ガイギー社


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1758年
ヨハン・ルドルフ・ガイギーが医薬品、化学素材、染料を扱う貿易会社をバーゼルに設立。

1939年
ガイギーの研究者パウル・ヘルマン・ミュラー博士が殺虫剤DDTの開発に成功

1949年
消炎鎮痛剤フェニルブタゾンを開発。

1958年
中枢神経系分野ではに三環系抗うつ薬のトフラニール(イミプラミン)を開発

1963年
側頭葉てんかん治療に重要な薬であるテグレトール(一般名:カルママゼピン)



チバ社

チバはバーゼル化学産業社(Gesellschaft fur Chemische Industrie Basel, CIBA)の略称

1859年
 Alexander Clavelというフランスのシルク繊維業者がスイスのバーゼルで設立した。
元々スイスは染料産業が盛んであったが、新しい合成染料フクシンを開発して成功を収める。

1900年代初頭にVioformと呼ばれる消毒剤の導入をきっかけに製薬業界へ参入を始める。
この消毒薬のおかげで会社の規模は3倍以上に成長した。



ガイギー社とチバ社は1970年に合併。
米国で反トラスト法にひっかかりそうになるもなんとか合併が承認される。
この合併はガイギー社の農薬の強みと合成樹脂や石油化学製品の分野に強いチバを相補的に強化

1990年代、チバガイギーは世界5大化学会社の1つにまで成長した。



サンド社

1886年
カーン博士とEdouard Sandozがバーゼルに会社を設立
ビクトリアブルー、クリスタルバイオレット アリザリンブルーといった染料を開発

1893年:
カーン博士は心不全で亡くなる。サンドさんも2年後に体調不良で経営から退き会長に就任

1895年:
Chemische Fabrik vormals Sandoz(Chemical Works、旧Sandoz)と呼ばれる有限会社に転換

第一次世界大戦までに染料や化学中間体を開発して世界的な販売網を持つ会社に成長

1917年
Arthur Stollが製薬部門を開設、多角化戦略の一環として製薬部門を設立
この製薬部門がライ麦から麦角菌と呼ばれるエルゴタミンを発見し開発が始まった。

中世から聖アントニウスの火として知られていた疾患の原因である麦角菌


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麦角中毒になると手足が燃えるような感覚に陥り
循環器系に対して血管収縮、手足の壊死、子宮収縮による流産なども起こる。

そのエルゴタミンの強い薬理作用を応用して頭痛薬や出産後出血の止血などに使用されている。

まぁエルゴタミン由来製剤で最も有名なものは
アルバート・ホフマンが合成したリゼルグ酸ジエチルアミドだが


重要な向精神薬チオリダジン塩酸塩の開発にも成功する。

大恐慌の時は経営が危機に陥るが化学分野での成功で乗り切る。
クレンザー、石鹸、漂白剤がヒット
第二次世界大戦後には殺菌剤、除草剤、殺虫剤、殺鼠剤を生産




1996年: Ciba-GeigyとSandozが合併してNovartis AGが設立。


しかしこの3社は過去に一度結集したことがある。

ドイツの化学産業トラストIGファルベンに対抗するためにBasel AGを3社で設立した。
このスイスの3社はドイツのカルテルに参加を求められたがスイスの中立性のために独自に
スイス化学トラストを作ることになる。

このスイス化学トラストは第二次世界大戦後の1951年まで存続していた。

そのトラストを再結集したものがノバルティス




ノバルティス誕生以降

1998年に同社は、ヒト遺伝子の研究に専念する研究所を設立
現在のノバルティスの遺伝子治療の礎となる

しかし農業分野では成功しなかった。
遺伝子組み換え農作物に対し懐疑的な世論もあり農業分野をスピンオフすることに

イギリスの製薬会社ゼネカ(現アストラゼネカ)とノバルティスの
それぞれのアグリケミカル部門が合併して新会社が誕生

それが新会社がシンジェンタ


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2002年には、ロシュへ投資してをロシュの議決権3分の1にまで拡大。

21世紀の最初の10年間に癌治療において最も重要な進歩を遂げたグリベックを開発。

血糖値を計測するコンタクトレンズをグーグルと共同開発していたり
常に新しい技術を追い求める先進的な企業、



ノバルティス社売上トップ5(2017年)

1位 ジレニア(多発性硬化症):31.8億ドル
2位 コセンティクス(乾癬):20.7億ドル
3位 グリベック(白血病):19.4億ドル
4位 ルセンティス(加齢黄斑変性症):18.8億ドル
5位 タシグナ(白血病):18.4億ドル

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グリベックは特許が切れた影響で急激に売上を落としている。が
その落ち込みを補うパイプラインは豊富だ。

グリベックの売上推移
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ディオバン


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ディオバン(一般名:バルサルタン)は不正論文問題で日本でも有名になった薬

バルサルタンの特許は既に切れておりディオバン以上に降圧力を持つ薬も沢山存在しているが
2017年でもバルサルタン製剤は2000億円以上の売上がある。

エックスフォージはバルサルタンにカルシウム拮抗薬アムロジピンを配合した合剤
売上的にはちょうどディオバンとエックスフォージは半々の売上



コセンティクスとエントレストが大きなcatalystだが他にもプロマクタ、ジャカビ、
そして話題のCAR-T治療薬キムリア
サンドスタチンの後継薬であるLutatheraもFDA承認を取得したし盤石なポートフォリオ




現在のノバルティスの体制

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大きく3つに事業が分かれている。
製薬と眼科領域のアルコン、そして後発医薬品事業のサンド

売上でみるとアルコンが12%、サンドが20%を占めている。

アルコンには事業売却の噂がある。

サンドは後発医薬品事業に加えてバイオシミラーの製造にも取り組んでいる。

開発中のバイオシミラーラインナップはリツキサンとヒュミラ
テバの多発性硬化症治療薬コパキソンの20mg版のバイオシミラーは既に販売している。



過去に開発した主な薬(買収した会社が開発した薬含む)

アフィニトール(一般名:エベロリムス):抗がん剤、免疫抑制剤としてはサーティカン
アプレゾリン(一般名:ヒドララジン):抗ヒスタミン剤を作るつもりが降圧剤となる
イクセロン(一般名:リバスチグミン):経口剤では吐き気が強く貼り薬になった認知症薬
エクア(一般名:ビルダグリプチン):2型DM治療薬、ジャヌビアのライバル
クロザリル(一般名:クロザピン):自殺を減らすがSEの無顆粒球症は致死的になる事がある
コムタン(一般名: エンタカポン ):パーキンソン病の日内変動の抑制
サンディミュン(一般名:シクロスポリン):プログラフが登場する以前の免疫抑制剤といえばこれ
ジカディア(一般名:セリチニブ):非小細胞肺がん患者でALK融合タンパク陽性に
テグレトール(一般名:カルバマゼピン):てんかん薬だが三叉神経痛とかにも、薬疹や聴感変化あり
タフィンラー(一般名:ダブラフェニブ):悪性黒色腫の治療、メキニストと一緒に使おう
メキニスト(一般名:トラメチニブ):JTと京都府立医科大学 酒井敏行教授が共同で発見
ボルタレン(一般名:ジクロフェナクNa):ロキソニンより鎮痛作用が強めだが胃荒れも強め


独り言

ノバルティスは個人的に格付けするなら製薬会社で最上位、Sランク。
欠点らしい欠点は見当たらない。

敢えて欠点を上げるとしたらスイス株に掛かる源泉徴収税率が35%と割高な事くらい。


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