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一般名:ボノプラザンフマル酸塩

武田薬品が開発したP-CABなのでタケキャブ


胃酸を止める薬と言えば市販薬にもなっている有名なガスターがある。
ガスターはH2ブロッカーという種類の薬でヒスタミン受容体をブロックすることで胃酸分泌を抑制する。

良い薬だが症状が重い胃潰瘍や逆流性食道炎にはパワー不足な事が多い。

なので医療用にはH2ブロッカーより効果が強いプロトンポンプ阻害薬という薬がある。

オメプラール、タケプロン、パリエット、ネキシウム

この四つはガスターより格段に胃酸分泌を抑制する力が強い
しかしこの強力なPPIにも欠点があるので更に強力で使いやすい薬が必要とされていた。

そこで誕生したのがタケキャブ(一般名:ボノプラザンフマル酸塩)

プロトンポンプを阻害するのは同じだが作用機序がこれまでと違う
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)という新規クラスの作用機序を持つ。



開発の経緯

オメプラールがPPI一発目として発売されて以来ずっと
医療用において胃酸分泌抑制剤はPPIが使用されていた。

効果がそれまでのH2ブロッカーとは明らかに違う

しかし臨床で使用していくうちにPPIには色々欠点があると分かってきた。

PPIの主な欠点

①即効性が無い

今逆流性食道炎で辛い患者さんが病院にいってタケプロンやパリエットを処方してもらって
服用してもすぐには効かない。PPIが安定して薬効を発揮するためには個人差が大きいが
3日、長いと5日かかる。即効性という意味ではまだガスターの方が勝る。

②薬効発揮において遺伝的な個人差が大きい

PPIを主に代謝するのはCYP2C19
このCYP2C19が良く働く人と働かない人がいる。
パリエットの主要代謝経路はCYPではなく非酵素的な経路だがそれでもCYP2C19が関与する

お酒に強い人と弱い人がいるようにPPIという胃薬にも強い人と弱い人がいる。
いくらPPIを増量しても効果が得られない人が一定数存在する。

③夜間の胃酸分泌抑制作用が弱い。

PPIの一日一回服用では就寝中の胃酸分泌をコントロールできないことが多い。
なのでその補助としてH2ブロッカーを就寝前に服用するという処方が見られる。
H2ブロッカーは食後の胃酸分泌抑制作用は弱いが就寝中の作用は比較的強い

しかしH2ブロッカーとPPIの併用は保険請求的に難しいかもしれない。
支払基金としてはPPIの1日2回投与か倍量処方の方が望ましいとしている。

以上3つの弱点があるPPIを補うべく開発されたのがタケキャブ



効能又は効果
○胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、低用量アスピリン投与時における胃潰瘍
又は十二指腸潰瘍の再発抑制、NSaids投与時における胃潰瘍又は十二指腸潰瘍の再発抑制

○下記におけるヘリコバクター・ピロリの除菌の補助
胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、特発性血小板減少性紫斑病、早期胃癌に対する
内視鏡的治療後胃、ヘリコバクター・ピロリ感染胃炎

タケキャブはピロリ菌の除菌にも使用できる。
ピロリ菌の除菌にはこれまでタケプロン等が使われていたが一段上の除菌成功率となっている。

サワシリンやクラリスは、ピロリ菌の増殖期に作用する。
ピロリ菌はpH≦5.0では、ほとんど増殖しなくなるのでpHをよりハイに引き上げる力が必要。
その力がタケキャブにはある。



薬理作用

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タケキャブは酸による活性化を必要とせず、可逆的にカリウムイオンと競合的な
様式でH+, K+-ATPaseを阻害する。ボノプラザンは塩基性が強く胃壁細胞の酸生
成部位に長時間残存して胃酸生成を抑制する。消化管上部の粘膜損傷形成に対し
て、ボノプラザンは強い抑制作用を示す。


プロトンポンプを阻害するという点ではこれまでのPPIと同じだが途中経過が違う。

同じ武田薬品工業が20年前に開発したタケプロンは壁細胞での酸でスルフィンアミド型に変換され
プロトンポンプ(H+,K+-ATPase)のシステイン残基とジスルフィド結合し不可逆的に阻害する
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タケキャブは代謝を受ける必要が無い。
そのままの状態で壁細胞に作用するので即効性
酸による活性化を必要とせずにカリウムイオンに競合する形でH+,K+-ATPaseを可逆的に阻害

個人差があるがその日のうちに効果を実感できる場合が多い。


構造式

これまでのPPIは全て共通の骨格を持っている

タケプロン(ランソプラゾール)

takep

パリエット(ラベプラゾール)
pariet


オメプラール(オメプラゾール)
omep

ネキシウム(エソメプラゾール)
neki


PPIは大部分が共通の構造をしているので薬効もそう違わない
パリエットだけは主代謝がCYP2C19でなかったりプロトンポンプとの結合が可逆だったりするが
基本的に変わらない



タケキャブ(ボノプラザン)の構造
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全く違う構造をしている。

武田薬品が自社の化学ライブラリの中からP-CABとして作用するピロール化合物 を発見。
この物質は細胞毒性のリスクがあったりしたが構造を変化させることにより改善した。


用法・用量

○胃潰瘍、十二指腸潰瘍の場合
通常、成人にはボノプラザンとして1回20mgを1日1回経口投与する
○逆流性食道炎の場合
通常、成人にはボノプラザンとして1回20mgを1日1回経口投与する

1日1回で24時間効果が持続する。
即効性があるので頓服的に使用することもできる。
胸焼けやゲップ多発の辛い症状も服用して1時間以内に軽快する。



効能又は効果


胃潰瘍、十二指腸潰瘍に対する効果

胃潰瘍、十二指腸潰瘍患者を対象に、ボノプラザン20mg又はランソプラゾール30mgを
1日1回最大8週間(胃潰瘍)及び最大6週間(十二指腸潰瘍)経口投与した二重盲検比較試験

胃潰瘍患者を対象とした試験は、ランソプラゾール群に対するボノプラザンの非劣性が認められた
十二指腸潰瘍患者を対象とした試験は、ランソプラゾールに対する非劣性は認められなかった。


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胃潰瘍に対してはタケプロンに対して非劣勢だが十二指腸潰瘍に対しては少しだけ効果が落ちる。
しかし両方とも95%以上の有効率というハイレベルな争い。




逆流性食道炎に対する効果

逆流性食道炎患者を対象に、ボノプラザン20㎎又はランソプラゾール30mgを1日1回最大8週
間経口投与した二重盲検比較試験における投与4週後及び8週後までの治癒率は下表のとおり
であり、投与8週後までの治癒率についてランソプラゾール群に対するボノプラザン群の非劣
性が認められた。また、ボノプラザン群の投与4週後までの治癒率とランソプラゾール群の投
与8週後までの治癒率の差の点推定値[両側95%信頼区間]は1.1%[-2.702,4.918]であった。


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逆流性食道炎に対してはタケプロンに対しての非劣勢を証明。
ボノプラザン20mgを8週間服用すると99%という高い治癒率

用量設定試験を見てみると逆流性食道炎患者に対してタケプロン30mgに対しては
ボノプラザン5mgでも非劣勢。

副作用は用量依存性ではなく40mg/dayまで増やしても副作用は増加していない
ボノプラザン40mgまでは胃酸pHを用量依存的に上昇させ40mg以上ではpHを上昇させない



代謝

ボノプラザンフマル酸塩は主としてCYP3A4で代謝され、一部CYP2B6、CYP2C19及び
CYP2D6で代謝される。また、硫酸転移酵素SULT2A1でも代謝される

PPIのメイン代謝酵素CYP2C19はワーファリンとか多剤との併用が難しい場合が多い
でも3A4も抗生物質のクラリスロマイシン等沢山注意すべき薬があるが

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併用禁忌

レイアタッツとエジュラント

この2つの抗HIV薬とは一緒に服用できない。
胃酸分泌低下により酸性条件下からpHが上昇すると吸収率が低下し抗HIV作用が発揮できなくなる



副作用


胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎:承認時までの試験で1日1回ボノプラザンとして
10mg又は20mgを投与された2,271例中186例(8.2%)に臨床検査値の異常を含む副作用
主な副作用は便秘(0.7%)であった。

胃潰瘍又は十二指腸潰瘍におけるヘリコバクター・ピロリ除菌の補助
ボノプラザンフマル酸塩、アモキシシリン及びクラリスの3剤投与
承認時までの試験で329例中67例(20.4%)に副作用が認められており主な副作用は下痢(10.6%)

このピロリ菌の除菌における下痢は2つの抗生物質のせいだろう
抗生物質が腸内の善玉菌も減らしてしまう。



独り言


P-CABは武田以外の製薬会社(アストラゼネカとか)も開発を進めていたが製品化まで
漕ぎつけたのは2018年現時点で武田だけ

胃酸分泌抑制薬の市場は大きくアストラゼネカのネキシウムは最盛期で5000億円を超えている。
タケキャブの世界展開が上手くいけばかなり売上的に期待できる。

日本の製薬会社の開発力を示した一品


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