ジャヌビア



一般名:シタグリプチン

名称の由来:JANUS(ヤヌス、二つの顔を持つ神)、via(経由)から命名

膵臓で血糖値を下げるインスリンの分泌を促進して
膵臓で血糖値を上げるグルカゴンの分泌を抑制する
2つの作用機序をジャヌビアは持つ

ジャヌビアは世界初のDPP-4阻害薬として米国の製薬会社メルクが開発
2009年に新規性・有用性が高く、従来の医薬品と基本骨格から異なる画期的新薬として発売

日本では同じ成分のグラクティブ錠が併売品として小野薬品工業からも発売されている。
単独投与では肥満や低血糖を起こすことなく高血糖を改善し、 膵β細胞の保護作用も有する。

2018年現在、DPP-4阻害薬は多種多様な薬が各製薬会社から発売されているが
HbA1cを下げる効果に大きな違いはない。
しかしジャヌビアは日本でDPP-4阻害薬として市場シェアNo1を取っている。
なぜなら一番最初にDPP-4阻害薬として発売された薬だから

ブルーオーシャンに飛び込めるとこれだけ大きな利益が得られるという見本のような薬

売上(2017年)

売上58.9億ドル(約6300億円)
メルク社売上に占める割合 14.6%

メルクの2017年の売上高は401憶ドルなので
ジャヌビアがメルク社の売上に占める割合は14.6%

注・シタグリプチン製剤は海外だと単剤としてのジャヌビアとメトホルミンとの合剤である
ジャヌメットがある。この58.9億ドルの売上げはその二つを合計したもの


シタグリプチン10年間の売上推移
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ジャヌビア一つの売上で日本国内の大多数の製薬会社年間売上を超える。
年間売上6300億円はエーザイの2017年売上5400億円を軽く上回る。


ジャヌビアとジャヌメットの売上比較
ジャヌビアとジャヌメット


合剤だけを見ても2000億円売れている。

効能・効果

2 型糖尿病

インスリンが絶対的に欠乏している1型には使えない。



用法・用量

通常、成人にはシタグリプチンとして 50m を1日1 回経口投与する。
なお、効果不十分な場合には、経過を十分に観察しながら 100m1 日 1 回まで増量することができる


ジャヌビアは腎臓から排泄されるため腎機能が低下している場合は注意しながら使用する。
中程度の腎機能障害なら通常量の半分の25mg/day 重度や透析してるんなら12.5mg/day

ちゃんと12.5mg錠も100mg錠もジャヌビアのラインナップにある。半分に割ったりしなくていい。

それでも腎機能が気になるという人は胆汁排泄型のDPP4阻害薬トラゼンタを使う選択肢もある。

服用時点はたいてい食後で処方されることが多いが添付文書には1日1回としか指定されておらず
食前や空腹時に服用しても差し支えない。


薬理作用

DPP-4を阻害することによる

インクレチンの一種であるGLP-1はインスリンの分泌を促進する作用を持つ。
ご飯を食べた後で小腸のL細胞から分泌され、グルコース濃度依存的にインスリン分泌を促進。

GLP-1を血糖値が高い時だけインスリンの分泌を促進してくれるとても都合の良いホルモン
しかし大きな欠点があってそれはすぐに分解されてしまうということ。
半減期は2分。10分もしたらほとんど無くなってしまう。

じゃあその分解されやすいGLP-1を分解されないようにして長持ちさせたら
長く効果が続くんじゃね?て発想で生まれた薬がシタグリプチン。



そもそもインクレチンを分解するDPP-4とは?

正式名称はジペプチジルペプチダーゼ-4

2つのアミノ酸を切り取る酵素。
GLP-1のアミノ基末端から数えて2番目のアラニンを標的に作用する。

ジャヌビアもジペプチド構造を持っている。
なのでDPP-4とジャヌビアが結合してGLP-1と結合するのを防いでいる。

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DPP-4阻害薬はジペプチド構造を持つタイプと持たないタイプがあるがジャヌビアはジペプチド型




ジャヌビアの臨床効果

食事/運動療法をしても十分な血糖コントロールが得られない 2 型糖尿病患者(363例)を対象に
本剤 25、50、100、200mg 又はプラセボを 1 日 1 回 12 週間経口投与(朝食前)した。

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プラセボとの比較ではHbA1cが-1.0%

他の糖尿病治療薬との併用では


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色んなタイプの糖尿病治療薬との併用試験を見ると少なくとも0.7%は低下させるようだ。
DPP-4阻害薬は併用する時に相手を選ばないで確実に効果を発揮できる。



副作用

国内で実施された臨床試験において、1,734 例中 195 例の副作用が認められた。
主なものは低血糖症 73 例、便秘 19例、空腹 9 例、腹部膨満 9 例等であった。


低血糖
ジャヌビア単剤とプラセボを比較した場合低血糖の発現率は変わらない。
インクレチンが分泌されていない空腹時にいくらDPP-4を阻害しても作用しない。
よって、ジャヌビアを始めとするDPP-4阻害薬は低血糖を起こしにくい。

ただアマリールとかのSU剤やインスリン注射を併用していると4%程度低血糖が起こる。
この低血糖の発現は単剤ではなく併用において現れたもので併用薬に気を付けてみてみると


併用薬に違いによる低血糖の発現率
グリメピリド併用時 5. 3%、ピオグリタゾン併用時 0. 8%、メトホルミン併用時 0. 7%
ボグリボース併用時 0. 8%、ナテグリニド又はミチグリニド併用時 6. 5%
インスリン製剤併用時に低血糖*(17. 4%)

やはりインスリンを強力にたたき出すSU剤のアマリールはリスクが高い。
それと当たりまえだがインスリンそのものを併用したら低血糖が起こりやすい。

その反面インスリン抵抗性を改善するピオグリタゾン。肝臓で糖新生を抑制するメトホルミンは
併用しても低血糖のリスクを上昇させていない。



食欲の低下
ジャヌビア特有の副作用ではなくGLP-1が胃の排泄速度を低下させ食欲が低下する。
Ⅱ型糖尿病は肥満体型の人も多いので食欲が低下するのはメリットであるとも言える。



便秘が多い
多いと言っても発現率は1%
大抵は酸化マグネシウムで対処できるレベル


このジャヌビアの便秘だが海外で販売されているメトホルミンとの合剤であるジャヌメットは
便秘の副作用発現率がジャヌビア単剤と比較して低い。

ジャヌメット



これはメトホルミンの副作用である下痢とジャヌビアの便秘が上手く打ち消し合っているから
そんな相性の良い薬があるなら日本でもその合剤を販売すれば良いんだが日本では臨床試験で有意な結果を出せずに断念したようだ

メトホルミンは基本的に1日3回服用する薬。
ジャヌビアは1日1回服用する薬。

日本での合剤の臨床試験はジャヌビアの合わせて1日1回で試したそうだが
メトホルミンを上乗せした効果が現れなかったとのこと。

海外は合剤を1日2回で使用しているらしい。だからメトホルミンの効果が出やすいのか
しかし1日1回服用で済むというのはジャヌビアの大きな利点の一つだし仕方ないか

便秘の頻度が1%でなく10%程度あればその副作用を打ち消す利点も合わせて
1日2回もありかと思ったけどそこまでではないし。



代謝と排泄

8割以上が未変化体として尿中や糞中に排泄される。
CYP3A4 に代謝活性が示され、CYP2C8 にも弱いながら代謝活性が認められたが
臨床的に注意が必要なレベルではない。

なので絶対に一緒に飲んではいけない薬は無い。
糖尿病治療薬は当たり前に併用注意だけど



独り言

米メルクは過去10年、このジャヌビアと高脂血症治療薬ゼチーアで毎年1兆円を売り上げていた。
しかしゼチーアは既に特許が切れジャヌビアもそろそろ特許が切れるからメルクの株価は低迷
今話題の抗がん剤キートルーダですら2017年の売上は38億ドルでジャヌビアには及ばない

メルクというメガファーマの株価を左右する薬
それがジャヌビア


janu


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