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シェリングプラウ(米メルク)によってゼチーアが発見されたのは1994年。
その後、ゼチーアは臨床試験においても優れたコレステロール低下作用を示したことから、
ドイツとアメリカで2002年に承認され日本でも2007年に発売された。

しかし実は2002年にFDAに認可された時点でなぜゼチーアがLDLを低下させるかは不明であった。


一般名:エゼチミブ

商品名の由来:一般名エゼチミブから

売上(2017年)

売上21億ドル(約2205億円)
メルク社売上に占める割合 5.2%
一錠の薬価:177円


注・エゼチミブ製剤は海外だと単剤としてのゼチーアとシンバスタチンとの合剤であるVytorinがある。
この21億ドルの売上げはその二つを合計したもの



エゼチミブ製剤の売上の推移
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エゼチミブは元々買収されたシェリングプラウの薬なので2008年以前のメルクとしての売上は0
海外では既に特許が切れているので売り上げが大きく落ち込んでいる。
それでも2000億円は売れているが



効能・効果
高コレステロール血症,家族性高コレステロール血症,ホモ接合体性シトステロール血症


シトステロール血症というのは聞きなれない病名だが指定難病
果物や野菜に含まれる植物ステロールの一種であるシトステロールが排泄できなくて
脳梗塞や心筋梗塞が起きやすい
シトステロール血症は世界中でも報告が100名もいない希少疾患




用法・用量
成人にはエゼチミブとして1回10mgを1日1回食後経口投与する

半減期が20時間以上あるので一日一回服用したら効果が期待できる。
三日も飲めば定常状態に移行



薬理作用

小腸上皮においてコレステロール輸送体のNPC1L1を阻害する事により
食事性及び胆汁性コレステロールの吸収を阻害する. 
脂肪酸輸送の阻害もapoB-48産生の抑制も示唆されている。



NPC1L1とは?

食べ物中に含まれるコレステロールは小腸でNPC1L1というたんぱく質の力を借りて吸収される。
小腸上部の刷子縁膜上に存在するコレステロールのトランスポーターNiemann-Pick C1 Like1
シェリングプラウの研究者が発見した。

ニーマンピックC1(NPC1)はライソゾーム病であるニーマン・ピック病C型の原因遺伝子
ニーマンピック病C型は代謝異常症で、常染色体劣性遺伝性の脂質代謝異常症


ヒト型のNPC1L1は1332個のアミノ酸から構成されている13回膜貫通型のタンパク質
コレステロール輸送する時はコレステロールを結合したままエンドサイトーシスで輸送されている
その後コレステロールはNPC1L1から離れ小胞体へ行く流れ



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ゼチーアが結合する場所は細胞外第2ループのアミノ酸配列のPhe-532およびMet-543辺りらしい。
ただどの様に結合しているのかはまだ判明していない



ゼチーアの臨床効果


ゼチーア単独投与でLDLを18%低下させる。

LDL-Cの低下作用はスタンダードスタチンと同等でメバロチン10mgと同じ位
LDLを30%以上下げるストロングスタチンからしたら明らかにパワー不足。
しかしゼチーアの真価は単剤使用ではなくスタチン併用時に発揮される。


10mgでLDLを約35%低下させるリピトール。しかし更にLDLを50%まで低下させようとしたら
20mgに増量しても中々達成できない。

経験則だがスタチン系は服用量を2倍にしても低下率は増量前の6%にとどまることが知られている。
35%から50%まで下げるには40mgでも難しい。

そこでゼチーアが活躍する。
スタチン系にゼチーアを追加投与したらスタチンの種類や用量に拠らずLDLは約25%低下する
海外だがリピトール10mg+ゼチーア10mg=リピトール80mgのLDL低下能力が認められている。



アトーゼット配合錠

そんな便利な組み合わせがあるなら最初から合剤にしてしまえと「ゼチーア」と「リピトール」の配合剤「アトーゼット配合錠」が今年発売される予定だったのだが去年メルクが受けたサイバー攻撃の影響で販売延期となっている。



飲み合わせ


フィブラート系

基本的に併用しない
ベザトールとかのフィブラート系とかの併用は危険だから一緒に飲むなというわけでなく安全性を確認してないから飲むなと。
スタチン系の圧倒的なシェアを考えたらスタチンと併用できれば製薬会社的にはOKかな
今更お金かけてフィブラート系との安全性を証明しても処方が劇的に増えるとも思えないし

ワーファリン

NPC1L1は脂溶性ビタミンの吸収においても重要な働きを担っている。
ビタミンKの腸管吸収がNPC1L1を介して行われることが示されている。
なのでビタミンKが作用点であるワーファリンとの併用は注意が必要となる

その他
P450を介さないので肝代謝する薬物と併用できる。


代謝

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小腸と肝臓で初回通過効果を受けてゼチーアはグルクロン酸抱合を受ける。
その抱合体が薬理活性を持つ。
そして抱合体エゼチミブが胆汁排出されて腸内細菌によって脱抱合を受けてエゼチミブに戻り、エゼチミブの一部がまた吸収される形でグルグル腸肝循環する。


排泄

尿・糞中排泄
健康成人男性(外国人 8 例)に14C-エゼチミブカプセル20mgを単回投与したとき,
投与後240時間までの放射能排泄率は糞中に78%,尿中に11%であった

ゼチーアは8割がた糞便に1割が尿中に



副作用

副作用は504例中95例(18.8%)に認められた.
主なものは,便秘15件(3.0%),発疹12件(2.4%),下痢11件(2.2%),腹痛10件(2.0%)
腹部膨満及び悪心・嘔吐のそれぞれ8件(1.6%)

頻度は不明だが横紋筋融解症のリスクがもある。
なので筋肉痛や脱力感などの副作用症状に気をつけるべき。



独り言

Vitorin(ゼチーア+リポバス)は、エンハンス試験で確かにLDLを大きく下げる事を証明したが
肝心の心臓病とか脳卒中の予防に有意な減少を証明できなかった。
このエンハンス試験はFDA承認から6年後の2008年に公表された。

要するに2002年の承認時には何故ゼチーアがLDLを低下させるか。
そしてLDLの低下が本当に心血管イベントを抑制するかも不明な状態だったと

まぁLDL低下と心血管イベントの関連性についてはスタチン系含めて全ての高脂血症治療薬にとっての問題だが・・・
これからもゼチーアには新しい発見がありそう。



それにしても解らないのはスタチン系は1971年に三共がスタチンを発見して以来
世界中の製薬会社が挙ってスタチン系薬を発売しているのに小腸コレステロールトランスポーター阻害薬に類似薬は無し。

なのでメルクは毎年4000億円の売上を独占してきたわけだがなぜ類似薬が作られないんだろうか?
構造式を見てもそこまで複雑な形をしていないし類似薬が開発されてもいいものだが

新規作用機序の薬が発売されてそれから特許が切れるまで全く類似薬の発売が無いとか珍しい。
そんな珍しい薬なのがゼチーア

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