depas



アメリカ合衆国にヴァリウムがあるなら大日本帝国にはデパスがある。


デパスは精神安定剤で、吉冨薬品(現田辺三菱製薬)が創成した。
日本において処方数と知名度で二位以下を大きく引き離し大差をつけている。

日本の安定剤と言えばこれ
インスタントラーメンといえばカップヌードル
日曜日のアニメと言えばサザエさん的な存在

サザエさんのエンディングを見て迫りくる月曜日の不安に抗うために服用するのがデパス

 
一般名: エチゾラム
商品名の由来:depression(鬱)状態をPass





効能又は効果
●神経症における不安・緊張・抑うつ・神経衰弱症状・睡眠障害
●うつ病における不安・緊張・睡眠障害
●心身症(高血圧症,胃・十二指腸潰瘍)における身体症候ならびに不安・緊張・抑うつ・
睡眠障害
●統合失調症における睡眠障害
●下記疾患における不安・緊張・抑うつおよび筋緊張
頸椎症,腰痛症,筋収縮性頭痛


整形外科で肩凝り、歯科で顎関節症に対して適応外で使用されるケースもある。
ミオナールより効くこともあるがそれはデパスに筋弛緩作用+精神安定作用があるから


用法及び用量

・神経症,うつ病
成人にはエチゾラムとして 1 日 3mg を 3 回に分けて経口投与する。

・心身症,頸椎症,腰痛症,筋収縮性頭痛の場合
成人にはエチゾラムとして 1 日 1.5mg を 3 回に分けて経口投与する。

・睡眠障害に用いる場合
成人にはエチゾラムとして 1 日 1~3mg を就寝前に 1 回経口投与する。

高齢者には,エチゾラムとして 1 日1.5mg までとする。 


睡眠障害でデパス錠1mgを3つ寝る前に一気に飲むより素直に他の薬に変更した方が良い気が


デパスの構造式


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チエノトリアゾロジアゼピンでベンゾジアゼピン構造をしていない。
チエノジアゼピン環にトリアゾール環を縮合した構造をしている。
薬理学の試験でデパスがベンゾジアゼピン骨格を有するとの記述があれば×にしよう。


ベンゾジアゼピンの基本骨格↓
BDZ

そしてこのデパスはリーゼという弱めの安定剤を元に改良された薬なのでリーゼと似ている。



リーゼの構造
rize

リーゼとデパスの違いは7環の上についているトリアゾール基だけ
このトリアゾール基のおかげでデパスはリーゼより強力な作用が備わっている



薬理作用

action



デパスはベンゾキサジアゼピン系ではなくチエノジアゼピン系だが作用する場所は同じ
ベンゾジアゼピン作用部位(αとγの間)に結合してGABAの受容体に対する親和性を増幅してマイナスイオンのクロライドチャネルを開いて細胞内がよりマイナスになり興奮が抑えられる。

しかしマイナスイオン発生器から発生するマイナスイオンは関係ない。



デパスの臨床効果

抗不安作用:強
催眠作用:強
筋弛緩作用:中
抗けいれん作用:中


換算



000

困った時のデパスということでオールマイティに効果を発揮する薬

一番有効率が高いのは胃・十二指腸潰瘍とのこと。これは心身安定剤として販売しているリーゼよりも改善率が高い。

しかし胃潰瘍の主な原因の一つであるピロリ菌が陽性である場合は除菌する必要がある。
デパスを飲んで一時的に楽になってもまた再発するのでピロリ菌除去するべき。
まぁ胃潰瘍ですね、なのでデパス処方しますねって医者もいないが



副作用

総症例数12,328例中866例(7.02%)1,133件の副作用が発現

眠気444件(3.60%),ふらつき241件(1.95%),けん怠感77件(0.62%),脱力感46件(0.37%)


眠気とフラツキは副作用というより主作用の過剰作用
高血圧の薬を飲んだら血圧下がり過ぎて低血圧とフラツキが出る事と同じ


重大な副作用
依存性(頻度不明)
連用により薬物依存を生じることがあるので,観察を十分に行い,用量及び使用期間に注意し慎重に投与すること.また,連用中における投与量の急激な減少ないし投与の中止により,痙攣発作,せん妄,振戦,不眠,不安,幻覚,妄想等の離脱症状があらわれることがあるので,投与を中止する場合には,徐々に減量するなど慎重に行うこと.


不安だからデパスを飲んでいたのにいつのまにかデパスを飲まないと不安になってしまう。
そうなるともうやめるのが難しくなる。

決心してデパスをやめようといきなり断薬してしまうと最初の一週間はその反動が来てしんどくなる。
毎日定期的に服用していたのにゼロにすると不眠や不安で生活がままならなくなる


フラツキの副作用は高齢者だと1回0.5mg錠で顕著にでやすい。そして転倒し重大なケガに繋がる。
なので昔は0.5mgを半分に割る処方がみられたが現場の需要に田辺三菱が応えて0.25mg錠が販売

025

デパスの薬価は1錠あたり0.5mgも0.25mgも同じ9円と変わらない。
けど親切にも田辺三菱は0.25mg錠を販売、精神科やその門前薬局は有り難かったと思う


乳汁分泌, 女性化乳房, 高プロラクチン血症(頻度は不明
極まれにドパミンD2受容体に影響を及ぼしている可能性がある副作用がみられる


吸収と作用時間

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最高血中濃度に達するのは3時間後
半減期は6時間

個人差があるが30分以内に効果を実感する。
半減期が六時間と短めなので一日中効果を持続させるためには3回服用する必要がある。



代謝

デパスは肝臓で代謝されてのグルクロン酸抱合体である代謝物M IIIとM VIを生成する。
具体的な代謝酵素を見てみると

M IIIを生成するP450分子種はCYP2C9
M VIを生成するP450分子種はCYP3A4


2121


排泄
ヒトでは投与量の約53%が尿中に排泄



併用禁忌の有無
無し

無いけどCYP3A4と2C9で代謝されるわけなので飲み合わせには注意しよう。
エチルアルコールとデパスを一緒に飲むと中枢抑制が過剰になるのは自然の摂理



独り言

デパスは1984年に発売されて以来ずっとその即効性と薬効で人気となった。

しかしデパスはラムネと言って調子乗ってた一部の乱用者のせいで規制されることになった。
日本で乱用される向精神薬ナンバーワンのデパスが普通薬だったのがそもそもおかしかったが

なぜデパスが普通薬だったのかと言えば米国で薬として承認販売されていないから
厚生労働省はFDAと欧州医薬品庁の規制を参考にしているのでその参照先が規制していないなら規制しないという行政的な理由でそれまでデパスは普通薬となっていた。

その結果精神科以外の医師がポンポン気軽にデパスを処方して依存症患者を生み出した。
そして発売されて30年してから今更向精神薬指定します。処方日数も30日に制限して個人輸入もダメ

デパス依存の人は規制強化で苦しんだと思う。

医薬品の個人輸入サイトを見ているとデパスが規制されて販売できなくなるので代わりの薬を紹介しているんだがデパスの代替品としてゾロフト等のSSRIを紹介しているサイトもある。

デパスやめる代わりにSSRI飲もうとかワイルドだな

SSRIの依存はデパスと同等以上にキツイ離脱症状も大変。お勧めできない
シャンビリを体験したいなら止めないが


デパス依存から脱却するにはやっぱり徐々にデパスの回数を減らしていくか他の作用時間が長めの薬に変更した方が良い。一回量を0.5から0.25mgにするより1日3回を1日2回に減らしたり

リーゼはデパスのパワーを抑えた薬で高齢者も筋弛緩作用によるフラツキがでにくく使いやすい。
しかしリーゼはデパス常用者には効果が弱すぎと感じるかも

ソラナックスは即効性もありながらデパスより半減期が長いので良いかもしれない。
デパスは効果を実感しやすいが切れ目も実感しやすい、なのでまた服用したくなる。

ソラナックスの場合は立ち上がりが穏やかな分切れ目も穏やかでいつの間にか切れている
なんとか1日2回でコントロールできる場合もあるし

ソラナックスが合わなければ似たような半減期のワイパックス
リーゼ程抗不安作用が弱くなく半減期も長く肝臓や腎臓にも影響が少ない・・・

こうやって色々試していくうちにまたベンゾジアゼピン依存に陥っていく罠

デパスを辞めたいときは減薬、断薬に理解がある精神科医に相談が一番。
腕のいい精神科医は最小限の薬しか使わずに最大の効果を引き出せる。

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