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テルネリンは整形外科で四十肩や肩こりを相談すると良く処方される筋弛緩薬。

筋弛緩薬というとたまに病院の医療事故でニュースとして登場する
しかし筋弛緩薬には大きく分けて2つあり中枢性と末梢性がある
テルネリンは中枢性筋弛緩薬

サクシンのような筋弛緩薬は末梢性筋弛緩薬
手術するときに使用するがハイリスク
末梢性筋弛緩薬は呼吸筋も止めてしまうので死亡事故につながる

中枢性筋弛緩薬のテルネリンはそんな恐ろしい薬ではない。
恐ろしい薬ではないが使い方を間違えるとリスクが高いのはこの薬も同じである。


2016年まではノバルティスが販売していたが2018年現在はサンファーマに販売移管している

一般名:チザニジン塩酸塩
商品名の由来:特に無し
薬価 1mg=13,8円

テルネリンの由来はなんだろう?と気になりしながら調べたら特に無しとがっかり
語感的に好きな名前



効能又は効果

1. 頸肩腕症候群、腰痛症による筋緊張状態の改善
2. 脳血管障害、痙性脊髄麻痺、頸部脊椎症、脳性(小児)麻痺、外傷後遺症(脊髄損傷、頭部外傷)、脊髄小脳変性症、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症による痙性麻痺

難しい病名で書いているけど要するに四十肩や首の張り、腰痛に使える。
痙性麻痺はそれに付随する諸症状を改善するために使われる。



用法及び用量

頸肩腕症候群、腰痛症による筋緊張状態の改善の場合
チザニジンとして1日3mgを1日3回に分けて食後に経口投与

痙性麻痺の諸症状改善
チザニジンとして1日3mgより始め、効果をみながら1日6~9mgまで漸増し、1日3回に分けて食後に経口投与


1回1錠、1日3回で開始するのは共通しているが痙性麻痺の場合はそこから増量していく。
テルネリンによる低血圧は類薬よりも強い。

初回に2ミリをいきなり服用してしまうとかなりの確率で低血圧を生じる
なので必ず飲み始めは1日1回から開始しよう。

参考までに痙性麻痺患者に対するテルネリンの増量例は↓
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一回量を2mgにするのは一週間置いた方がよさげ。

そして痙性麻痺でなくただの肩凝りや腰痛の場合は一回1mgでも2mgでも有効性に差が無いというデータがある。なので肩凝りの人は1回1mgで充分


テルネリンの頭痛に対する効果

頭痛にはいくつか種類があるがその中で緊張性頭痛という症状に対してテルネリンは使用される。
緊張性頭痛は肩や首の筋肉が固く張った状態が原因で起こる頭痛

日本頭痛学会による推奨グレードはBランクでライバル薬ミオナールよりもお勧め。

テルネリン1日1mgでも緊張性頭痛の患者さんは効果を実感する人は多い。



テルネリンの構造式
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体内動態
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服用して1時間後に最高血中濃度に到達する。
半減期は90分と短め

なので1日3回服用するパターンが多い。



薬理作用
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テルネリンの主薬理作用は中枢α2刺激作用によってノルアドレナリンの遊離抑制に由来する。



テルネリンの臨床成績
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臨床的に有効と判定された割合

肩凝り:84%
腰痛:77%

中程度以上の改善が認められたのは肩と腰の両方それぞれ約半数

軽度と中程度の違いがイマイチ解らないが少なくともテルネリンを服用したら半数の人は改善する



副作用

テルネリンを服用すると5.3%の確率で副作用が出る。

総例14,627例中何らかの副作用が報告されたのは770例(5.3%)。

主な副作用は、眠気318件(2.2%)、口渇133件(0.9%)、脱力感101件(0.7%)、けん怠感94件(0.6%)、めまい・ふらつき63件(0.4%)、胃部不快感42件(0.3%)、悪心33件(0.2%)、食欲不振28件(0.2%)、腹痛27件(0.2%)、発疹26件(0.2%)、ALT(GPT)上昇27件(0.2%)、AST(GOT)上昇23件(0.2%)等

α2を刺激することによりNEが減少し眠気が出る
逆にそれを利用して眠りを期待して服用する場合もある。


代謝
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テルネリンはCYP1A2で代謝を受ける。
もし正常に1A2で代謝されないと血中濃度が過剰に上昇して副作用のリスクが高まる。


テルネリンと喫煙の関係


喫煙者はテルネリンの効果を弱める

上記の通り、テルネリンはCYP1A2で処理される。タバコはその代謝酵素CYP1A2を誘導発現させる。
なので喫煙者がテルネリンを服用しても肝臓で普通以上に処理されテルネリンに期待される薬効が発揮されない。

1日10本以上喫煙する男性喫煙者だとテルネリンの AUC が約 30%減少した報告がある。

喫煙者で肩凝りの人がテルネリンを服用しても効果が出にくい
肩凝りを治したければタバコは控えよう


腎機能低下症患者とテルネリン

テルネリンを腎不全患者(クレアチニンクリアランス 25mL/min 以下)に投与した試験で、
腎機能正常者に比べ AUC が約 6.5 倍、半減期が約 7 倍延長と排泄時間の遅延が認められている。

透析患者には基本的に使えない。代替薬なら腎機能に制限がないミオナール


併用禁忌

ルボックス/デプロメール
シプロキサン


この2つの薬はテルネリンと一緒に服用してはいけない。

この2つは煙草とは逆にCYP1A2を阻害してしまう。その結果何が起こるのかというとテルネリンが体内で処理されず血中濃度や半減期が増大して副作用がでる。


抗うつ薬であるルボックスとの併用時データだとチザニジン塩酸塩の最高血中濃度(Cmax)が12倍に。時間曲線下面積(AUC)が33倍になる。半減期も1.5時間から4.3時間へと平均3倍有意に延長した

併用によって起こる副作用は低血圧とそれに伴うフラツキ、呂律が回らないなど
上の血圧が80を切ったり危険な状態になりえる。絶対に併用してはならない。

テルネリンとこの2つの薬の組合せが危険なのは病院をまたいで服用してしまう可能性が高いから

ルボックスは抗うつ薬で精神、シプロキサンは抗菌薬で基本的に同じ科から処方されることは無い。

しかしこれまでずっとうつ病でルボックスを服用している患者が肩凝りになり整形外科を受診してテルネリンを処方されることはあり得る。ルボックスもテルネリンもそれぞれの科では比較的メジャーな薬で当たり前の様に処方される。高齢者でこの併用禁忌により起こる副作用は症状が重くなるので要注意。お薬手帳があるなら薬剤師さんに薬の飲み合わせを見てもらおう。



テルネリンとミオナールの違い

薬の強さ

テルネリン>ミオナール

これは効果だけでなく副作用の多さも鑑みて
副作用発現率はミオナールが3.3%に対してテルネリンが5.3%

そしてテルネリンは痙性麻痺だと漸増していくがミオナールはいきなり最高用量が使える。
薬の強さを体に慣らすための期間がテルネリンには必要だという事。


薬理

テルネリン:中枢性α2刺激作用
ミオナール:γ-運動神経遮断


併用禁忌

テルネリン:ルボックス シプロキサン
ミオナール:無し


この2つの薬は結果的には同じような効果を発揮するがそこに至る薬理作用が異なるのでテルネリンで効果が無かった患者さんがミオナールを試すと効果が表れる場合がある。

副作用が無く併用禁忌も無いミオナールを先に試して効果が無ければテルネリンを使ってもいい。

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