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社名:Denali Therapeutics
創業:2015年
本社所在地:サンフランシスコ
ティッカー:DNLI


ジェネンテック(ロシュ子会社)の元研究者によって創設され、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSなどの神経変性疾患用医薬品を開発中 対象疾患は全てアンメットメディカルニーズ 
社名の「デナリ」はアラスカ州にある北米で最も高い山デナリにちなんで命名される。

デナリ山はマッキンリーという名称だったがネイティブアメリカン部族が使っていたデナリに2015年改名された。その2015年に創業したのがデナリ・セラピューティクス

2015年にオバマ大統領がマッキンリー山をアラスカ原住民が元から読んでいたデナリ山に改名。マッキンリーという名前は1901年に暗殺された第25代大統領マッキンリーが由来



この会社が開発に主に取り組んでいるのは中枢神経系疾患であるアルツハイマーとパーキンソン病
2つとも現在の医学では治癒できない。病態進行速度をわずかに緩やかにすることしかできない。

だがそんな薬効がわずかな薬でも患者家族や医師は縋る様に使っている。
他に選択肢が無いから
もしいつかドネペジルやレボドパのように病態の進行を遅くする薬ではなく真の意味での「治療薬」ができたら・・・

その時は数えきれない患者とその家族が救われる。米国だけで500万人以上の認知症患者がいる。
高齢化社会である日本への恩恵も計り知れない。
間違いなくその薬を開発した製薬会社は爆益どころじゃない利益を得ることになる。

あの巨大製薬会社ファイザーは開発の難しさからアルツハイマー治療薬の開発から撤退した。
そんな難しい分野の薬をこのバイオベンチャーが開発に取り組んでいる。

臨床試験段階にある薬は全てphaseⅠ
これから患者に届けるまでには長い時間と道のりでファイザーやロシュの様な豊富な資金もない。
この会社に投資するのは軽装登山者がマッキンリー登頂を目指すが如くリスクがある。



経営陣

創業したのは元ジェネンテックのメンバー

Ryan Watts:共同設立者でCEO 元Genentechの元神経科学ディレクター
Alexander Schuth:最高執行責任者Genentech神経科学のパートナー
Steve Krognes:最高財務責任者 元Genentechの執行委員会のメンバー ロシュM&Aチームを率いた
Mark Dresser:元Genentechの抗PD-L1薬テセントリクのプロジェクトチームリーダー
Joe Lewcock:元ジェンテンテックのニューロサイエンス部門のディレクター
Marc Tessier-Lavigneスタンフォード大学の11代学長でGenentechの元Chief Scientific Officer


経歴は大事 過去にどんな良い大学卒業しようが一流企業の勤務経験があろうが未来を保証することにはならない。しかしバイオベンチャー企業は投資家から資金を集める必要がある。投資家に有望であるとアピールするには経営陣の輝かしい経歴もその一助となる。

スタンフォード学長とジェネンテックというそれぞれの世界のトップが作った会社ということで投資家からは人気を得ている。IPOでは約250億円を市場から集める。




株主構成

筆頭株主はCrestline Management LPで21.8%
以下株式公開前から投資していたベンチャーキャピタルが名前を連ねているが8位株主に日本の製薬会社である武田薬品工業の名前がある。

武田薬品はデナリ社と契約を結びATVというデナリ社の技術に投資している。
武田は現金でデナリ社に1.55億ドルを支払い、デナリの普通株式4,214,559株を取得




なぜ中枢神経系薬の開発は難しいのか?
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それは血液脳関門なるバリアが存在するから。
血液脳関門は異物が一番重要な脳に届かないように守っている生体防御機構

なので人体にとって異物である医薬品も脳に届かない。
パーキンソン病で必要なドーパミンもそのままでは血液脳関門を通過できないのでレボドパという前駆物質として体内に取り込みBBBを通過して脳に到達してから酵素で変換されドーパミンとなり薬効を発揮できる。

ドーパミンのような単純な構造の化合物ですらBBBを通過するのに難儀するのだから人工的に合成した化合物なんてそうそう通過できない。何かしらの工夫をしないと。

その工夫を持っているのがこの会社


テクノロジー
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抗体のFc部分に必要な物質を繋げて脳内に送るシステム
この技術を使うとマウス試験において標準抗体よりも脳への浸透が20倍大きいことが示された。
もちろん人間にそのまま当てはめる事は出来ないし重大な副作用が表れる危険性もある。

しかしどんな医薬品でも血液脳関門を通過できる技術が確立されたらアルツハイマーやパーキンソン病だけでなく脳腫瘍に対する抗がん剤の開発にも応用できるだろうし可能性が広がる。




F-starとの提携

英国ケンブリッジにあるバイオベンチャーF-star社とも研究開発で協力している。
F-starのテクノロジーは血液脳関門を通過することができるフルサイズ二重特異性抗体を生成することができる。最近流行りの二重特異性抗体の導入も視野に入れている。





パイプライン

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臨床試験段階に入っているものは3つ
全てphase1

ロイシンリッチリピートキナーゼ2(LRRK2)阻害薬
DNL201:パーキンソン病
DNL151:パーキンソン病


パーキンソン病でLRRK2の変異は炎症、凝集および脳細胞死を引き起こす
LRRK2の酵素活性が向上しリソソームのタンパク質分解機能がエラーを起こしαシヌクレインなどのタンパク質が蓄積してドパミンニューロンが細胞死を起こす。そしてドパミンが枯渇してパーキンソン症状が現れる。なのでその原因であるLRRK2を阻害すると改善する可能性がある。

2017年6月にDL201の第1相試験を開始
バイオマーカーアッセイ:セリン935でのLRRK2リン酸化およびLRRK2基質Rab10のリン酸化



Receptor-interacting serine-threonine kinase 1 (RIPK1) 阻害薬
DNL747:アルツハイマー病


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RIPK1はTNFαシグナルにより活性化されミクログリアの炎症性細胞を亢進し炎症反応を引き起こす。
その炎症反応によりシナプスや神経細胞の減少が起こっている可能性があるのでRIPK1阻害剤がミクログリアによる炎症反応を抑制しミクログリア変性由来のアルツハイマー症を改善する可能性がある

ただ同じRIPK1阻害薬で治験薬であったDNL104は肝臓への毒性から臨床試験を中止している。
経営陣は分子構造が104とは違うから大丈夫と言っているが解らない。サルによる実験では肝機能に負担が出ているデータがある。



財務諸表
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売上は武田薬品とのコラボ収入のみ、これは一時的な収入だから基本毎年売上ゼロと考える

現金同等物と短期投資を合わせると3.73億ドル
1年間のこの会社の一般管理費とR&D費を合わせるとざっくり1億ドル
ということはこれから3年間の運転資金は問題はなさそう。

ただ薬として世の中に出せるのは早くても5年はかかるから1回か2回は増資が必要だろう。
承認有望なPhaseⅢ段階で株価が高くなっている時に増資すると初期投資家は希薄化の影響が少なくなって済む。





独り言
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中枢神経系疾患の薬は開発が難しい。

試験管レベルだと上手く作用する薬を作れてもそれを脳に届ける手段がこれまでなかった。

しかしそもそも論として薬がちゃんと効果が発揮されるのか解らない。
パーキンソン病はドーパミン欠乏という根本的な問題が分かっているからiPS細胞なりで不足しているドーパミンを作る細胞を増やすことができれば何とかなりそうだけどアルツハイマーは根本的にまだ原因が解明されていない。原因物質としてアミロイドβ、タウタンパク、TREM2、色々仮説はあるけどパーキンソン病のようにこれだと断定できていない。なのでデナリ社がきちんと物質を脳に届けても無効な場合もありえる。

ありえるというかこれまでの数多くの製薬会社の失敗を見ていれば失敗する確率のが大きい。
しかしチャレンジしないことには新しい治療法や薬はいつまでたっても開発できない。

この会社が物凄く順調に成功したとしても早くても数年はかかる。
株を買うなら長期投資のつもりで。

Denali Therapeutics Inc(NASDAQ: DNLI)
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